令和7年度税制改正に伴う年末調整・源泉徴収実務の変更点について
■ 今回の改正について
2025年(令和7年)4月25日、国税庁より、令和7年度税制改正に関連する年末調整・源泉徴収の実務対応に関する案内が公表されました。
今年12月に行われる年末調整業務から適用される内容も含まれており、
企業の経理・総務部門では早めの準備が求められます。
■ 主な改正のポイント
改 正 内 容 | 概 要 |
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基礎控除の見直し | 合計所得金額が2,400万円以下の方の控除額が、従来の一律48万円から最大58万円に引上げ。合計所得に応じた段階的控除(基礎控除の特例)が新設されます。 |
給与所得控除の見直し | 最低保障額が65万円に引上げられます(従来55万円)。 |
特定親族特別控除の創設 | 19歳以上23歳未満の親族で一定の要件を満たす場合、最大63万円の控除が新設されます。 |
扶養控除・配偶者控除の要件変更 | 控除対象となる扶養親族および配偶者の合計所得要件が58万円以下に引上げられます(従来48万円以下)。 |
これらの改正は令和7年12月の年末調整から適用開始となり、翌年1月以降は月次の源泉徴収にも影響が出ます。
■ 実務対応で必要になること
- 新しい申告書様式への切り替え
(例:「給与所得者の特定親族特別控除申告書」の追加など) - 扶養親族や配偶者の所得確認基準の見直し
(58万円以下かどうかの確認が必要) - 新様式に対応した給与ソフトや源泉徴収簿の整備
- 改正後の税額表に基づく源泉徴収対応(令和8年1月~)
■ 変更スケジュールと流れ(予定)
時 期 | 対 応 内 容 |
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2025年8月頃 | 国税庁より年末調整手引・FAQが公表予定 |
2025年12月 | 新制度に基づく年末調整を実施 |
2026年1月~ | 月次源泉徴収に新税額表を適用開始 |
■ ご注意点
- 本改正は一部の従業員にとって、控除額や記載要件が複雑になる可能性があります。
- 「旧様式のまま運用」してしまうと、年末に集計不備や還付過多のリスクが高まります。
- 社内マニュアルや人事給与システムの対応も、事前にご確認いただくことをおすすめします。
【参考資料】